motzの雑記帳

主にBMS関連の話題について不定期に語ります

BMS制作を約17年ぶりくらいに再開した経緯について

記事作成者のmotsは、元々は2000~2002年にBMS制作活動をしていたのですが、幾つかきっかけがあってBMS制作を再開してみようという気になり、2019年11月に約17年ぶりに活動再開しました。活動再開の経緯の話は、活動再開時に公開した第34作目のClassical Music / Tchaikovsky - The Nutcracker Miniature Overture のReadMe.txtに書いていますが、この作品自体(pupulyには登録したものの)多分あまりDLしている人も多くないので、ここで改めて経緯を載せてみようと思います。

The Nutcracker Miniature Overtureに添付したReadMe.txtからの抜粋

[雑記~活動再開のきっかけについて]

冒頭で述べた活動再開のきっかけについてです。おそらく長くなります。。

一つ目のきっかけは、具体的な時期は覚えていないですが、たぶん2009年~2011年あたり。当時、一人暮らしでひたすらスクエニのオンラインゲームのFF11にはまっていて、週末祝日はただひたすら「FF11の中で」何をしよう、としか考えておらず、自身の自由時間をFF11に全振りしていました。

そもそもBMS制作とかそれなりにクリエイティブな趣味があったのに、活動をしなくなったきっかけは、当時のJASRACの取り締まりの激化は一要素としてはありますが、あるBMSBMS制作に行き詰っていたところで、当時勢いのあった某韓国産のネトゲを試しにはじめてしまって、すぐにどはまりしたせいです。(ちなみにROやリネージュではないです。当時、これらと双璧をなすくらい人気があったはずですが多分運営のせいで割とすぐに正式サービスが終了してしまった不遇なPvP中心のゲームです。緊急メンテが発生すると、怪しい日本語を話すGMが「今日はもう寝なさい」とやさしく諭してくれた思い出があります。・・と話が脱線しそうなので、この辺でやめます)そのゲームはそれから2,3年程どっぷり嵌った後、自身の就職もありそのゲームは引退。(ちなみに自分が引退して1,2年後にそのゲームのサービスは終了しました)暫くは新社会人として仕事と仕事の勉強に集中していたものの、半年後くらいに会社の人にFF11に誘われて試しにプレイ。ちなみによくわからず自然体ではじめてしまったので、会社の人とは別サーバーとなり、その人とは一度も遊ぶことはありませんでした。でも、一人でもすぐにFF11の世界の魅力にとりつかれ、やがてゲーム内で仲間も増えたりしてすっかり嵌ってしまいました。で、週末祝日となればFF11の世界で過ごし、という生活に突入、その後その生活が何年も続き、1つ目のきっかけの話の冒頭に戻ります。

FF11の世界にどっぷり嵌った生活を送っていた最中、リアル友人が家に遊びにくる、ということになりました。で、よくよく考えたら家で遊べるものがFF11以外何もないことに気づきます。FF11は自分は楽しめても、アカウントをもっていない友人と一緒に楽しめるものでもないし、自分としてもリアルとFF11は分けておきたい、という思いもあり、それじゃあ何か別に楽しめるものがないか、と頭をひねらせます。で、思い立ったのがネトゲにはまる前にはまっていたBM98。当時のPCには導入していなかったので、導入しようとネットを探してみたところ、BM98の後継版のLR2というものがあることに気づきます。LR2を導入して、有名曲をパッケージ化したスターターズパックとかも入れてやってみたところ、いろいろ進化していることに気づきます。音のクオリティは当時とは全然違う、そもそもWAVじゃなくてOGG使っている、BGAが3Dムービーみたいになっている、実際、静止画を並べたキーフレームアニメーションではなく、動画ファイルを取り込んでいる、見たこともないロングノート(?)がでてくる、なんかすげーーー!とちょっと感動でした。で、友人が遊びに来た時は結局外で飲んで家では何もしなかったわけですが、LR2とはこうして出会いました。

久しぶりにBMSをプレイして、そういえばBMS制作途中で行き詰った曲、そのうち何とかつくりたいなー、と思うことはあったものの、音取りに使っていたSC-88ProとかUA-100Gは実家。作りはじめるならまた環境整備からしないとだめだなー、ということで、なかなか取り掛かる気にはなれず、それよりもFF11をやりたい。とBMS制作を再開するには至らず、FF11の合間にLR2をたまに遊ぶくらいにとどまりました。その後、FF11をやりながらも携帯のSNSゲームとかに嵌ったり、携帯をiPhoneに変えてからスマホゲームに嵌ったり等しているうちに、FF11の熱も冷め始め、、、するとリアルがちょっと充実しはじめ、気づいたらリア充生活がはじまり、その果てには結婚。さらに仕事では海外赴任の話も決まりロンドンで新婚生活開始・・・とか急展開があり、そこでFF11やはまっていたSNSゲームは完全引退。で、以降ゲームはスマホSEGAぷよぷよクエストとかをやるくらいにとどまっています。

で、海外赴任生活も3年半程で終わり、日本に戻って来たところで2つ目のきっかけがありました。住む家を見つけるまで、暫く実家に住んでいたのですが、実家には妹夫婦と甥っ子二人(当時4歳と7歳)がいます。で、甥っ子二人は以前からやたらと自分に懐いていて、同じ家に住んでいると当然甥っ子から「〇〇遊ぼー」となるわけです(〇〇にはmotsの甥っ子達からの通称が入ります)。それで、色々一緒に遊ぶのですが、一度、実家にある自分の古いPCを立ち上げて遊ぶ機会があり、そこで何か面白いものないの?ということで、なら音楽ゲームでもやる?ということで、古いPCに入っていたBM98きくちゃんバージョンをやらせてみたところ、甥っ子(特に下の子)が見事にはまりました。それから2カ月程度で、自分達家族が住む家を見つけて実家を離れたのですが、それ以降、たまに実家に遊びにいく時も下の甥っ子と顔を合わせる度に「〇〇音楽ゲームしよう!」と言われます。そういった経緯もあり、ならもうちょっと実家のPCに甥っ子ができる曲を入れようと過去にMO(笑)に保存した曲データを漁ったり、今のネット上でも新しい簡単なBMSはないか、と探していくうちに、自身の関心もBMS関連のことにまた少しずつ意識が向き始め、今のBMS界隈の事情とかをちょっとずつ確認・把握していくようになりました。

そんな中、決定打となる3つ目のきっかけです。BMS関連の現在の事情を確認していった中での発見ですが、どうやら今はMIDIからBMSを簡単に生成するツールがあるとのこと。MID2BMSというツールですが、詳しく調べると、ボタン一発で簡単に作れる、という代物ではないものの、BMS制作過程で一番めんどくさい音切りのプロセスをかなり楽にできるもののようで、試しに過去にMIDIだけ用意してBMS制作を放置していた曲のBMSをつくってみよう、と制作をはじめました。(それが本作です)

当時MIDIからの音取りに使っていたMIDIハードウェア音源であるSC-88Proは実家の古いPCに接続したままであり、音源どうしよう、というところからはじめ、色々しらべていくうちに、今はハードウェア音源から音取りをするよりも、PCのマシン性能そのものがアップしているので、むしろソフトウェア音源から音取りするのが主流であることを確認。ということで、ソフトウェア音源を調べていくと、ん?DAWって何?VST音源?sf2??とか17年間浦島太郎状態の自分には馴染みのない用語が色々と出てきて、悪銭苦闘しながらもフリーで揃えられる範囲で制作環境を整備。で、MID2BMSでMIDIBMS化をはじめたところ・・・音録り、音切り・加工、BMSのバックグラウンドまでの配置を1時間程度でできてしまいました。。これは凄い・・・!17年前は、自分の作業効率がよくなかったのもあるとは思いますが、この過程だけでも何時間・何日も単調な作業を繰り返してようやくそこまでたどりつけたものなのに。。当時、BMS制作から遠のいてしまったのも、この過程がめんどくさくて負担だったから、というのも一因としてあります。そんなわけでBMSの原型は簡単にできて、あとは譜面を作成してお好みでBGAをつければ完成、ということでせっかくなので公開しよう、と思い立ちました。この調子なら、当時原曲の使用許可をもらいつつBMS化に行き詰った曲も割と簡単に作れそうな気がしており、次はその曲に取り組んで、長年止まっていたBMS制作活動を再開しようという気になりました。以上が活動再開に至った経緯です。(長・・・!くもないか?)

■■■■■抜粋ここまで■■■■■

あとがき

・・・ということで、以前公開した作品のReadMe.txtを改めて張り付けただけですが、少し時系列が分かりにくそうなので補足すると、BMS制作活動をしていたのが2000年~2002年。ただ、2002年は暮れに自作ピアノサウンドセット用の簡単な作品を1作公開しただけで、実質活動期間は2000年~2001年がメインです。そして韓国産のMMORPGに嵌ったのが2001年~2004年。就職して、その後FF11に嵌った時期が2004年の暮れから2011年くらいまで。2009年~2011年のどこかでLR2の存在を知り、FF11も半引退状態でスマホSNSゲームにはまっていたのが2011年~2013年頃。リア充生活&ロンドン赴任生活は2013年~2017年、BMS制作活動を再開したのが2019年、といったところです。

もう少し補足すると、ReadMe.txtの中で書いていた「当時原曲の使用許可をもらいつつBMS化に行き詰った曲」を今度の8月のWORLD WAR - BATTLE ROYALE IN ALL REGIONSで公開予定です。使用許可をもらったのが2000年か2001年頃だったと思うので、そこから19年か20年越しの奇跡的な完成です。そんなわけでWORLD WARの曲はmotsのオリジナル作品ではないのですが、イベント的には「コピー・アレンジ・オリジナルは問わないものとする。」とのことなのでルール上は問題ないかな、と思います。

さて、WORLD WARはどうなるか・・・。

無名戦17&A-1 10thを統計データから振り返る

1.はじめに

第17回自称無名BMS作家が物申す! & A-1 CLIMAX 10TH - LIKE A SHINING DIAMOND -の開催期間が終わってから2週間が経ち、今はMutual Faith 3が絶賛開催中、また、3週間後にはWORLD WAR - BATTLE ROYALE IN ALL REGIONS イベントもはじまる予定であり、BMS界隈に関わっている方々はMutual Faith 3のインプレや、作者の方々はWORLD WARイベント向けのBMS制作等を頑張っている頃だと思います。今年はその後さらにBOFXVIやBMS衆議院選が控えていたり、それ以外にも様々な小規模イベントも企画・計画されていたり等もあり、無名戦A-1を振り返るならタイミング的に今しておいた方が良い、ということで、今回、振り返り記事を執筆したいと思います。
今回は、mots同様無名戦に参加していたEnteさん (https://entenoblog.hatenablog.com/)にまとめて頂けた無名戦・A-1の統計データを用いて、客観的な目線で振り返りと考察を行っていきたいと思います。振り返り内容については、場合によってはEnteさんのものと重複するところはあるかもしれませんが、ご容赦ください。

2.統計データ

Enteさんがまとめたものに自身が確認したい切り口でいろいろなビューを追加しました。かなりたくさんのシートを追加しており、この記事で触れないデータもあると思うので、興味のある方は確認頂けると色々とご自身で考察ができるかもしれません。

https://drive.google.com/file/d/1mmSzi9Hj0XIqgpwWpruSlDSj_csB2JHF/view?usp=sharing


3.振り返り考察

ここから考察をはじめていきます。それぞれの切り口ごとにまとめていきたいと思います。

1. 全体インプレ数・得点発生記録から見る振り返り

まずは無名戦・A-1全体のインプレおよび得点発生記録です。

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無名戦・A-1 インプレ発生推移
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無名戦・A-1 得点発生推移

データを見るまでもなくわかっていたことですが、無名戦・A-1ともに最終日にインプレが集中しています。もう少し細かくデータを見ると、無名戦・A-1ともに、最終日の得点・インプレ数は全体の総得点数・インプレ数の3割以上を占めています。

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無名戦・A-1 最終日得点割合
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無名戦・A-1 最終日インプレ数割合

本当に、今回の無名戦・A-1は最終日になるまで結果が分からなかった、ということを表していると思います。一方で、これまで自身が参加してきたBMSイベントのことを考えると、これは特に今回の無名戦・A-1に限ったことではなく、BMSイベントでいつも発生していることだと思います。なので、BMSイベントにおいて最終日前までの評価がいまいちでも、最終日には一気に逆転する可能性もあるので、終わるまでは悲観すべきではない、ということだと思います。

2. 全作品のランキング推移について

A-1、無名戦の全作品のランキング推移は以下の通りです。(ちょっと見づらいかも)

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無名戦 全作品順位推移
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A-1 全作品順位推移

※A-1についてはNot Air得点を考慮した表ではないので、実際の順位と少し違うかもしれません。

(1) 無名戦

無名戦に関しては、Gimme All The Cocaineが2日目からそのまま最後までぶっちぎり続けて優勝、2位のThrill Triggerも途中から何とかくらいついて健闘したものの一歩及ばず、といったところでしたが、1位と2位はインプレ数・得点からも次元の違うところで得点レースをしていた、という印象です。その次にWeaponhumanとSecret Orderが3位争いを続けて、5位以下はしばらく10作品くらいが接戦を繰り広げて、最終的には9位くらいまでの作品が5位争いをしていた、といった勢力図だったと思います。さらに、10位以内に入賞するとカブトムシを食べないといけない、という謎の噂が流れたりもして、一部では10位以内はカブトムシゾーンという通称で呼ばれていたりしましたが、残り一枠のカブトムシゾーンに入る争いも最終日まで5,6作品の間で行われていたと思います。(ここに関しては、10位以内に入賞したい、というより、表向きには避けたい、と言っている人もいたかな、と思います。まあカブトムシ食べる必要は全くないのですが。)

順位表の最終日の推移をみると、大幅に順位が上下した作品もあるようです。
順位があがった作品としては、上位陣では前日14位から順位を6つあげて見事カブトムシゾーンにも入り最終的に8位になったRAKUGAKI NOTE、19位から順位を9あげて同様にカブトムシゾーンの10位に入り込んだヤバヤバがあります。ともに、最終日まで高いAverageポイントを維持しており、(若干ヤバヤバは予想外でしたが)最終日に順位をあげるのは必然だった作品と言えると思います。

上位陣以外では、以下の作品が最終日に大幅に順位をあげています。

鏡花水月の宵 29位→21位 (+8)
devote 47位→27位 (+20)
Carnelian 39位→29位 (+10)
1st Code 62位→46位 (+16)
キボウノヒカリ(SC.Kanata Redecorate) 60位→53位(+7)

特にdevoteは最終日で20位も順位をあげており、ポテンシャルの高さを伺えます。元々、パッケージ化時点でB譜面しかなかったり、BGAも制作中だったりで、暫く経ってからそれらが揃ったこともあり、序盤は評価がふるわなかったものの、最終的には高く評価された、ということだと思います。それだけに、はじめから譜面やBGAが揃っていれば上位争いにも食い込んでいた可能性もあり、逆に惜しい作品とも言えます。

反対に最終日に大幅に順位を下げた作品は以下の通りです。

fwa fwa 15位→22位 (-7)
Opposit_Position 16位→24位 (-8)
KHAYAH 22位→32位 (-10)
ちっぴんばとる! 28位→37位 (-9)
指先忍者 the ultimate keystroke 27位→40位 (-13)
蒼く爽昧な夢のようで 31位→42位 (-11)
Flömade 44位→51位 (-7)
Morning Beach 49位→58位 (-8)
OhDa 50位→62位 (-12)

個人的には、上のどの作品も印象が強く、どれも今回の無名戦を彩る素晴らしい作品だと思っていますが、残念ながら最終日に他の作品の勢いに流されて順位が下がる結果となってしまったものだと思います。ただ、順位は順位であり、今回のイベントで多くのインプレが集まり、様々な意見やアドバイスを得られたものだと思いますが、そちらの方が重要だと思います。各作者様におかれましては、是非とも今回のインプレを糧にして次の作品につなげていって頂けたらな、と思います。(いや・・・自分どういう立場なんだ、すみません)

(2) A-1

A-1については、序盤はRedoとRemovalが1位を争っていたところに、ウタカタ・サマーメモリーズが争いに加わり、途中からRemovalが一歩前に出てトップを走る中で他2作品が追う形となっていたところ、終盤に向けて徐々に順位をあげていったSweet Magic Machineが最終日に物凄い追い上げを見せてRedoをおさえて3位に入り込むというサプライズが起こりました。優勝争いはRemovalとウタカタ・サマーメモリーズとの間で、最終日の最後の瞬間までどうなるかわからない得点レースを繰り広げ、最後にはウタカタ・サマーメモリーズの方に勝利の女神が微笑みました。

A-1と無名戦同時開催で、どうしても無名戦の方がイベント的に盛り上がり、票も無名戦の方に集中していたこともあり、上位作品以外はなかなか注目を集められない性質があったように思えますが、個々の作品をみていくと、上位作品でなくてもNot Airを意識した作品ばかりであり、面白い作品が豊富にあったと思います。

A-1については、意外にも最終日に大幅に順位を上下させた作品は少なかったようです。
順位が大幅に変わった作品は以下の通りです。
※Not Airポイントを考慮する前の順位です。

サクラノユメ。 18位→9位 (+9)
route#10 30位→22位 (+8)
comfy 32位→36位 (-4)
レフトビハインド 29位→34位 (-5)
Let Me G0 24位→28位 (-4)

無名戦程、最終日に順位の上下が全体的に少なかった理由はよくわかりませんが、A-1ということでどの作品もインパクトが強く、最終日になる前に各作品に多くの人が共通の認識をもっていたことで、最終日に大量のインプレが入っても各作品の評価が大幅に変わることはなかった、ということなのかもしれません。ただ、その中でも順位をあげた2作品はA-1の作品総数から考えても大幅なアップであり、それだけ光るものがあった、ということなのだと思います。

3. インプレ人数と内訳について

インプレ人数とその内訳については以下の通りです。

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無名戦・A-1 インプレ人数と内訳
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無名戦 インプレ人数構成割合
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A-1 インプレ人数構成割合

この表のそれぞれの用語は以下のように定義しています。


全インプレ人数:無名戦69作品中68作品以上、A-1 39作品中38作品以上インプレしているインプレイヤーの人数
通常インプレ人数:無名戦2作以上68作未満、A-1 2作以上38作品未満 インプレしているインプレイヤーの人数
ユニークインプレ人数:無名戦、A-1ともに1作のみインプレしているインプレイヤーの人数
※同一人物が別名義でインプレしている場合は別人として扱っています(同一人物かどうかわからないため)


無名戦、A-1ともに全インプレ人数は割と多めかな、と思います。

また、無名戦に関して、開催期間中にTwitterで以下のようなアンケートをとっています。サンプル数はあまり多くないので、若干信憑性に欠ける部分はあるかもしれないですが、参考にはできると思います。

これによると、特にイベント名を指定せずにアンケートをとった結果だと「一部の作品だけプレイ、インプレする」という回答が50%をしめて、「今回の無名戦」とイベントを限定すると「全曲プレイ、全曲インプレする」という回答が最大派になっていました。これは単に自身のTwitterフォロワーに無名戦参加者が多かったから、というだけかもしれませんが、無名戦、ということだと基本的には有名BMS作者は参加していないはずなので、有名作者のBMSだけプレイして後は放置する、といったスタイルにはなりにくく、各参加者に平等なチャンスが与えられているイベント、という性質は他のイベントよりも強いのかな、と思います。

ただ、今回の無名戦は例年よりも参加者が多く、大規模とまではいかなくてもそれなりの規模のイベントにはなったこともあるからか、結果的に全インプレ人数が占める割合は約2割、と上のアンケート結果よりも少ない割合になっています。それでも56人ものインプレイヤーが全インプレを行っており、全インプレ人数は多いと言えると思います。

A-1に関しては全インプレ率は無名戦よりもさらに多いようです。ただ、全インプレ人数は53人とほぼ無名戦と変わらず、A-1も無名戦と同時開催となっている影響からか、無名戦と同様に各参加者に平等なチャンスが与えられているイベントという性質が出ていると思います。

無名戦の全インプレ率の方が低い理由は、今回の無名戦の面白い性質が関係していると思います。それは、無名戦では、全インプレ率よりもユニークインプレ率の方が
高い、という点です。これについては少し面白いデータがあるので、あとで掘り下げます。

なお、無名戦、A-1両方とも全インプレを行っている方は以下の方です。一参加者としてしか言えませんが、イベントが盛り上がったのも多くの方がインプレに参加したからであり、自身も日々変わるインプレと得点に一喜一憂しながらおおいに楽しめたこともあり、特に全インプレを行った方々には改めて感謝を述べたいと思います。そして本当におつかれさまでした!

(敬称略)38k、69 de 74、⑮、Black、Chicala Lpis、Deadline Hater、Eltsopa、E-MAN、Exsy、hard、kairos22、kei_iwata、Khibine、kooridori、kunzite、last、LT、LUXURY♪、mots、NASA、nekomimi_STRaw、paraneumann、Phleguratone、Rb_Drache、saaa、sera、SOMON、STANK!、Sterrite、syuuroku、tcheb、tolz、utzbo、Whip、あとぅす、でぱみぃ、みーに、池田哲次、吟世かいな、くるやのぶ、しよ(複数別名義あり)、Setca.、ザラエル、はろるど

※繰り返しとなりますが、複数名義でインプレ投稿している場合は全インプレを行っていても上のリストに載っていない可能性もあります。また、譜面サポートや制作過程でアドバイスをしていたり等で一部作品へのインプレを自粛している中、他の作品へは全インプレしている方もいらっしゃるようで、そういった方は気づいたベースで追加していますが、おそらく全カバーはできていないと思います。もし他にも実は実質、全インプレ行っている方がいらっしゃれば、こっそり教えて頂ければシレっと更新します。(なお、追加している方は、データ上は通常インプレ勢のままにしていますので、ご了承ください。表や図を差し替えるの面倒なので・・・。

※なお、誰がどれだけどの作品にインプレしているかについての詳細は、少々見づらいですが統計データのインプレイヤー別集計のシートをご参照ください。

4. よりディープな考察

ここからはよりディープな考察をしていきます。

(1) 登録番号若い方がインプレ数稼げて有利?

今回の無名戦に参加していて、特にこの点は感じていました。データ面から裏取りをしてみたいと思います。

【確認方法】
 無名戦、A-1でそれぞれ前半、後半の作品で総インプレ数の平均を比較する。

【前提】
 無名戦:2~60の35作品を前半、61~112の34作品を後半に分ける。上位2作品は他作品より大幅にインプレ数が多いものの、前後半で分かれているためそのまま除外せずに計算に含める。

【計算結果】

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無名戦 インプレ数 平均・分散・標準偏差
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A-1 インプレ数 平均・分散・標準偏差

【考察】
無名戦、A-1ともに前半の方が後半よりもインプレ数の平均値が高くなっています。A-1については平均値のみの比較では然程変わらないように見えますが、分散、標準偏差を比べると後半の方が前半よりも高く、後半の方が数値のばらつきがある中での平均値となっていることが分かります。後半の作品を見ると、インプレ数のランキング1位と3位のウタカタ・サマーメモリーズとSWEET MAGIC MACHINEが含まれており、その上で前半よりも平均値が低く、各作品の得点のばらつきも後半の方が大きいことから、その分インプレ数が少ない作品が多く含まれていると言えると思います。

ということで、結論としては、予想通り、登録番号が若い方がインプレ数を稼ぐ面では有利と思われます。要因としては、インプレ期間開始前に登録されていることでより多くの人にプレイしてもらい、印象づけができることが大きいと思います。特に、序盤に登録するとイベント開始直後にBMS配信者による配信が行われる場合もあり、宣伝効果としてはなかなか大きいと思います。また、インプレイヤーもはじめの方に登録される作品からプレイしていってインプレしていく人の方が多く、他作品より序盤にインプレ数を稼ぎやすく、インプレ数があるからプレイしてみよう、と後になってやってくる人に思わせる等、好循環を生むことができるものと思います。

(2) 登録番号が中盤と終盤では終盤の方がインプレ数稼げる?

逆に終盤の登録番号の方が目立っていたり、後ろの作品からプレイしていってインプレしていく天邪鬼な方も少なからず存在するので、実は終盤の方が中盤よりも有利なのではないか、という説があり、これを検証してみたいと思います。

【確認方法】
 無名戦、A-1でそれぞれ前半、中盤、後半の作品で総インプレ数の平均を比較する。

【前提】
 無名戦:登録番号順に23作品ずつ、前半、中盤、後半に分ける。上位2作品は他作品より大幅にインプレ数が多く、全体傾向を確認する上ではノイズとなるため除外する。
 A-1:登録番号順に13作品ずつ、前半、中盤、後半に分ける。上位4作品は同様の理由で除外する。

【計算結果】

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無名戦 インプレ数 平均・分散・標準偏差
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A-1 インプレ数 平均・分散・標準偏差

【考察】
先ほどの考察の通り、序盤は中盤、終盤に比べて平均が高くなっています。中盤と終盤を比較すると、平均値は無名戦、A-1ともに多少終盤の方が高くなってはいるものの、あまり変わりはありません。分散、標準偏差は無名戦は終盤の方が高く、わずかに中盤の方が高い、といったところですが、明確な傾向はみられません。無名戦は終盤の平均値がわずかに高いものの分散・標準偏差もわずかに高く、一概に終盤が有利と言えるものでもないように思えます。A-1はむしろ平均値が終盤の方が高いものの、分散・標準偏差はわずかに低く、終盤のインプレ数のばらつきは少ないものの、わずかな差であり、同様に一概に終盤が有利と言えるものでもない、と思います。

なので、中盤と終盤ではあまり変わらない、といったところで、もしBMSイベントで序盤の登録を逃したら、じゃあ埋もれないようにするためにも終盤になるまで登録を待とう、というのはあまり意味がないように思えます。

(3) Average高いけどインプレ数稼げなかった作品は何が原因?

無名戦、A-1のAverage 9以上の作品は以下の通りです。

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無名戦 Average 9以上作品一覧
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A-1 Average9以上作品一覧

無名戦でいうと、Shadowland CityscapeとOpposite_Position、A-1でいうとSundial(BMS Edit)がAverage 9以上なのにインプレ数が少なめとなっています。Shadowland CityscapeとSundial(BMS Edit)は登録番号が後半ということが響いている可能性はありますが、Opposite_Positionは前半登録であり、番号順の問題だけではなさそうです。

それぞれ、分散・標準偏差は1付近であり、Average得点から考えれば高くはなく、安定して平均点付近に票が集まっており、安定して多くの人から高い評価を受けていた、と言えると思います。逆に言うと、あまり賛否両論が発生しない作品ということで、人によってものすごくぶっ刺さる、というような要素が薄く、あまりインプレ数は稼げなかった?ということも考えられますが、一概には言えないと思います。

一つありそうな要素としては、3作品とも開催期間中の作者さんのTwitterログを見ると、あまりTwitterで作品の宣伝は積極的には行っていなかったようです。単純に、あまり作品を知られずにプレイする人数自体が少な目だったのかも、ということでもう少し掘り下げて確認してみたいと思います。

上のAverage9以上の作品のLR2IRでののべプレイ数を確認すると、以下の通りでした。(データは2020/7/18に取得。数字は各譜面のプレイ人数です。)
※のべプレイ人数なので、例えば3譜面を同一プレイヤーがプレイした場合は3人と数えているので、実際のプレイ人数ではないことにご注意ください。またbeatoraja等他のプレイヤーでプレイしている人数は考慮していないので、あくまで目安です。

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無名戦 Average 9以上作品 プレイ人数 (LR2IRより)
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A-1 Average9以上作品 プレイ人数 (LR2IRより)

これを見ると、Shadowland CityscapeとSundial(BMS Edit)は明らかに他の作品に比べてプレイ人数が少ないことが見て取れます。やはり宣伝が十分にできていなかったことが原因でしょうか?一方で、Opposite_Positionはプレイ人数的には他作品と比較しても申し分のないプレイ人数となっています。プレイする人はたくさんいても、どういうわけかインプレ投稿にまでつながる人が少なかった、ということですが、これについてはよくわかりません。もしかすると、無名戦終わった後にたくさんプレイされるようになって、開催期間中はさほどプレイ人数が多くなかった、ということも考えられますが、実際どうなのかは不明です。ただ、インプレ投稿がなされるかどうかは、各人のインプレ投稿のタイミングや運等、色々な要素が絡んでくると思うので、たまたまこうなってしまうこともある、ということなのだと思います。「2.全作品のランキング推移について」でも触れたように、最終日にあまり票数が伸びなかったことも関係しているかもしれません。

以上から、多少不明な点はありつつも、少なくとも確実に言えることは、作品の宣伝はやるにこしたことはない、ということだと思います。

(4) 逆にAverageはトップクラスではないのにインプレ数稼いでいる作品の特徴とは?

反対に、Averageはトップクラスではないけど、他の同Average帯の作品よりもインプレ数を稼いでいる作品もあり、これらの作品が他と違ってどんな作品だったかを掘り下げていきたいと思います。

無名戦、A-1のAverage9点未満でインプレ数ランキングトップ10は以下の通りです。

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無名戦 Average 9未満 インプレ数 Top10
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A-1 Average 9未満 インプレ数 Top10

無名戦でいうとOR、Phoenix (ft.Tonishkov)、fwa fwa、re:CrystallizationがAverageの割にインプレ数を多く稼いでいるようです。A-1についてはAverage9点未満のインプレ数トップ10全てがAverageの割にインプレ数を稼いでいるように見えますが、特にその傾向が強いと思われる作品を網掛けしています。

無名戦の4作品については、インプレ評価を見ると、作品として独自の光る強い要素を持っている反面、ある部分では色々と指摘を受けていたり等、人によって評価が分かれている作品だと思います。分散と標準偏差が大きいほど、インプレ得点にばらつきが発生していることを表しており、特にこの値が大きい作品ほど賛否両論が発生していると言えると思います。分散と標準偏差はAverageが下がるほど基本的には大きくなるはずですが、Averageが全体から見ると比較的高めなのにこの値が高い場合は否定的な意見がある中でも絶賛されている意見も多い、ということが言えると思います。無名戦のこの4作品は上にリストアップしている10作品の中では分散・標準偏差が高めになっており、多様な意見が発生する要素を含んでいる、ということでインプレ数も多くなっているものと思われます。

A-1の作品についても網掛け作品は同様の傾向があると思われますが、紫電やソラハナは他作品と比較して分散・標準偏差はそこまで高いわけではなく、比較的安定した評価となっていると思います。それでもインプレ数を稼げているのは、単純に登録番号が若いから、という点が大きいと思われます。

無名戦、A-1作品で特にこのAverage帯の中でも分散・標準偏差が大きいのがORとSweet Magic Machineだと思います。この2作品は所謂、”普通の”BMSではないということで開催期間中多くの話題を呼んだ作品であり、データ面でもそれが読み取れるのが面白いです。

これらの作品もLR2IRでのべプレイ人数を確認してみたいと思います。(のべプレ人数と毎回いうのも微妙なので、以降、単にプレイ人数と言うようにします。)

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無名戦 Average 9未満 インプレ数 Top10作品 プレイ人数(LR2IRより)
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A-1 Average 9未満 インプレ数 Top10作品 プレイ人数(LR2IRより)

データは同じく2020/7/18に取得したものです。これを見ると、OR、Sweet Magic Machine、Redoはあからさまにプレイ人数が多く、インプレ数が多いのは自然な流れと思われます。特にORは複数の譜面にそれぞれ違う要素を入れていて、一人が複数譜面をプレイしている可能性が高く、Sweet Magic Machineは謎解きの要素もあり、(このデータからは読み取れませんが)、プレイ人数というよりもプレイ回数が断トツに多くなっており、それぞれインプレにつながっているものと思われます。ただ、それ以外の作品については網掛け作品とそうでない作品でプレイ人数の相関があるわけではなく、網掛け作品でもプレイ人数が少ない作品があったり(ソラハナ、Newcomer(BMS))、逆に非網掛け作品でプレイ人数が多い作品もあります(Funky Anthem "F"、なんかたのしいことないかな)。ヤバヤバは実はあまりプレイ人数が多くないにも関わらず、分散・標準偏差もあまり高くなく、あまり賛否両論なく安定した評価を得ながら、インプレ数も多く獲得しているところが面白いです。これは何よりも作品のインパクトが強く、インブレ数の伸びにつながっているものと思われます。

まとめると、Averageがトップクラスでなくてもインプレ数を稼ぐ作品の特徴としては、以下があると考えられます。
・作品として独自の光る要素がある反面、ある部分では色々と指摘を受けていたり等、人によって評価の分かれる作品。
・作品のインパクトが強く、独自の世界観や作品のコンセプトが明確に打ち出されていて、何度もプレイさせる力があったり、話題を呼ぶ作品。
・なんだかんだでやっぱり登録番号が若い作品。

(5) Averageの推移傾向について

以下、また見づらいですが無名戦、A-1全作品のAverageの推移です。

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無名戦 全作品 Average 推移
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A-1 全作品 Average 推移

全体的にAverageは序盤で激しく動き、中盤から終盤にかけて収束していっていることが見て取れます。全体的な傾向として、終盤に向けて上位の作品はAverageはちょっとずつ下げていき、下位の作品は逆にちょっとずつAverageをあげていっている傾向があると思います。これは、例えばAverageが9点以上の上位作品の場合は、10点の評価以外はすべてAverageが下がることにつながるため、自然と下がっていきやすく、逆にAverageが低い作品は1回の10点評価でも一気にAverageが引き上げられ、インプレ数が増えるにつれて自然とあがっていく、ということだと思います。そんな中でも、終盤に向けて大幅にAverageが上昇している作品もあり、そういった作品の特徴としては以下があるように思えます。

・たまたま序盤に低めの評価が続いたが、後半に向かって高評価する人が増えて結果的に評価高くなった
・序盤に譜面やBGAがそろっていなくて評価が低めだったが、揃ったところで評価が高まった

これらの作品は基本的には最終日に順位があがっていると思います。

(6) 全体インプレ勢、通常インプレ勢、ユニークインプレ勢の各作品のインプレ数、得点が占める割合はどれくらいだったか

改めて、各インプレイヤーをインプレした作品数によって「全インプレ勢」「通常インプレ勢」「ユニークインプレ勢」に分けて、各作品のインプレ数、得点について、どれくらいの割合がそれぞれのインプレ勢によるものかも調べてみました。全インプレ勢、通常インプレ勢、ユニークインプレ勢の定義については、「3. インプレ人数と内訳について」で定義した「全インプレ人数」、「通常インプレ人数」、「ユニークインプレ人数」と同じ定義をします。

全インプレ勢:無名戦69作品中68作品以上、A-1 39作品中38作品以上インプレしているインプレイヤー
通常インプレ勢:無名戦2作以上68作未満、A-1 2作以上38作品未満 インプレしているインプレイヤー
ユニークイン勢:無名戦、A-1ともに1作のみインプレしているインプレイヤー
※同一人物が別名義でインプレしている場合は別人として扱っています(同一人物かどうかわからないため)

以下、無名戦、A-1の各作品のインプレ数の内訳と得点の内訳を示したものです。

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無名戦 作品別インプレ構成集計
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無名戦 作品別 インプレ得点構成集計
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A-1 作品別 インプレ構成集計
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A-1 作品別 インプレ得点構成集計

これらの結果からみてもわかるように、全体インプレ勢の得点は、インプレの母数は全作品変わらない、ということで、得点は流石に1位と最下位を比較すると違いは出ていますが、全作品でそこまで大きな差は出ていません。上位作品は通常インプレ勢、ユニークインプレ勢の票を多く獲得し、高得点につながっていることが分かると思います。全インプレ勢の中には相対評価で1~10の評価を満遍なく行っている人もいましたが、直接的な総得点の順位への影響は大きくなく、いかに通常インプレ勢とユニークインプレ勢の票を獲得できたかが高得点につながるポイントだったということが分かると思います。

一方で、では相対評価で低い評価を受けても全く問題なかったかというと、本当に最終的な総得点にあまり影響がなかったとも言い切れないと思います。評価によりAverageは確実に下がるため、あとの人が評点を考える上で少なからずAverageは参考にしている可能性もあり、相対評価での低評価は地味に後の得点に響いている可能性はあると思います。下がったAverageを目安に評価をつけられてさらにAverageが下がる、というような悪循環に陥っているケースもあると考えられ、序盤に相対評価による低評価を受けて以後の展開が苦しくなった作品もあるように思えます。結局は、BMS作品は音楽、映像、譜面全てが揃って総合的に評価されることから、すべての面で万人に隙のない作品を出していくことが意外と重要、ということが言えるのかな、と思います。

ここで、ユニークインプレ勢の票について注目したいと思います。以下、無名戦、A-1の作品でユニークインプレ勢によるインプレ数を2以上獲得した全作品です。

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無名戦 ユニークインプレ 2以上獲得作品
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A-1 ユニークインプレ 2以上獲得作品

無名戦については、「3. インプレ人数と内訳について」で触れたように、全インプレ勢よりもユニークインプレ勢の方が多い、ということが起こっていましたが、ユニークインプレ数全体87のうち、27が1位のGimme All The Cocaine、24が2位のThrill Trigger、7が4位のSecret Orderについていて、残りの作品のユニークインプレ獲得数は2まで、となっています。3位のWeaponhumanは意外にもユニークインプレは0で、裏をかえせば贔屓するインプレイヤーの助力なしでこの順位を獲得しており、まさに万人を唸らせた作品、と言うこともできると思います。一方で、A-1の方は順当に上位作品が自然な形でユニークインプレを獲得している、と言えると思います。

さて、皆さんはこのデータを見てどう思いますか?たくさんある無名戦のユニークインプレは、大部分が上位2作品が獲得したものでした。ユニークインプレというのは文字通り、1作品にしか投票していない人のインプレのことであり、例えばGimme All The CocaineとThrill Triggerの両方にインプレを行った時点で、それはユニークインプレではなくなります。そんなユニークインプレが2作品に20以上もついていることは、少し異常な事態だということは少し考えれば分かると思います。

この結果について、色々と邪推しそうになりますが、一つ言えることは、両作品とも、それぞれ全く別の方向性で魅力を発揮しており、おそらく全く別のファン層を作っていると思われる、ということです。BMSイベントにおいて、上位に入賞するには、Averageで評価されるイベントでない限り、総得点をいかに伸ばすかが重要となります。となると、当然インプレを多く獲得する作品が有利なのですが、この獲得の仕方として一つ有効な方法があると思います。それは「信者を作る」ということです。(実際にはもっと手っ取り早い方法も考えられますが、ここでは触れないでおきます・・・)

作品や作者の作風として、少し尖った方向に振り切って、その作風にぶっ刺さる人に向けて作品を作り続け、固定のファン、つまり信者を作り、増やしていく。その上で、新たな作品をイベント向けに出したら、そういったファンをインプレ会場にどんどん引き込み、インプレ数を伸ばしていく。特にBOFのような大規模イベントでは、おそらく全インプレ勢も少なくなるため、こういう方法でインプレ数を稼ぐ作品が強く、結果的に有名作者の作品が高い順位に行く、という構図だと思います。(いや、違うかもしれないけど)

無名戦は、無名作者のBMSイベントなので、基本的にはこの方法は取りえないはずですが、上位2作品は、作者が意識しているか意識していないかに関わらず、結果的に似たような方法でインプレ票の獲得を実現してしまっている、ということだと思います。冒頭で、「次元の違うところで得点レースをしていた、という印象」と述べましたが、言いたかったことはまさにこういったことです。(当然不正行為がなかったことが前提ですが)無名戦でこの次元で勝負されたら、ちょっと敵いようがないな、というのが正直な印象です。そういうこともあり、上位2作品を送り出したFutamiさんとK4Y5さんにおかれては、無名17世代を代表して今後のBMSイベントでも大活躍に期待したいです。ということで、
まずはカブトムシを食べるところからはじめてみましょうか。

4.おわりに

めちゃくちゃ長くなりましたが、無名戦・A-1の統計データから振り返りと、様々な切り口での考察を行ってみました。この考察も、決して正しいことを言っているわけではないと思うので、ここに書かれていることに惑わされず、参考にすべき情報は参考にして、ご自身でいろいろと考えてみると面白いかと思います。
また、冒頭で述べたように、「2.統計データ」に置いているExcel表には、この考察で触れていない様々なデータもあるので、さらに興味があれば見てみると面白いかもしれません。

以上となりますが、ここまで閲覧くださり誠にありがとうございました。

motsの過去のBMS作品の紹介~No.1 "Instrumental" overdose / globe

ブログ管理者のmotsは2000年~2002年の間に主にコピーBMSを中心に作成・公開していました(といっても実質2002年は殆ど活動なし)。コピーBMSということで、著作権の問題で今は殆ど再公開できませんが、JASRAC管理曲であれば自作音源で作成したものであればYoutubeに動画を公開する分には問題ないようだったので、ここで過去の黒歴史作品を紹介したいと思います。

No.1 "Instrumental" overdose / globe

Instrumental / overdose (globe) - YouTube

記念すべき第1作目のBMS。一番はじめは2000年3月に公開していますが、その後2000年8月に作り直しています。
動画は2000年8月に作り直したバージョンのものです。本当は2000年3月に公開したものを晒したいのですが、紛失してしまっていて自分でも持っていないので已む無くリメイク版をアップしています。(誰か持っていないかなー…持っていたらください!)

曲はglobeのアルバムFACES PLACESの1トラック目に収録されている小室哲哉によるインスト曲をBMS化したものです。
BPMが42からはじまり徐々に加速していき最終的には250になります。たぶん初めてのBMSとして選ぶべきではない曲ですが、作ってみたものです。
2000年3月に公開したものはTimidity+という当時のフリーのソフトウェアMIDI音源で作り、2000年8月版は当時評価が高かったSC-88proというハードウェアMIDI音源で作成しています。2000年3月時点でもSC-88proは持っていたのですが、SC-88proから録音ができることを知らずにはじめはフリーのMIDI音源で作っています…。
この作品、血迷って当時のコピーBMS専門のレビューサイトのRe-Riseに登録して、見事に青色マンボウさん含む3人のレビュアー全員から爆弾印「メダル無し評価」をもらいました。
→実は過去のRe-Riseのレビューページのアーカイブが残っていて、改めてみたところ爆弾印ではなくてメダル無しでした。過去のトラウマ補正か・・・

爆弾印とは、当時のRe-Riseはレビュアーの中から3人作品に対するレビューを行う人が選ばれて、金メダル、銀メダル、銅メダル、爆弾の4段階評価で評価をしてくれるのですが、爆弾は割とどうしようもない酷い作品につけられるものだったと思います。理由は色々あったとおもいますが、一番致命的だったのがこれだけBPMが変化するのにBGMを1本WAVで作っていたために、ちょっと処理が重くなると音がズレまくるという結構残念なことになっていたためです。

指摘されて直後にBGMのWAVを複数に分割したりとかしたものの、いや、これそもそも単音構成でつくるべきじゃない?と指摘されて、たしかに!と思ったのを覚えています。
まあ、ちょっとレビューサイト登録は早すぎたと思いました。これがきっかけで、ちょっとレビューサイト登録は慎重になりすぎてしまい、結局その後、Re-Riseに再挑戦することなく2002年にBMS制作活動がエタってしまいました…。今思えばもっと爆弾覚悟で挑んでいけばよかったなー、と思っています。

作品は、その後の2000年8月のリメイク版は単音構成にして、音源も見直して、これでもだいぶクオリティはあがっているのですが、今見ると粗が目立ちます…。

とりあえず今回はここまで。このような形で黒歴史過去作を少しずつ紹介していきたいと思います。

(2021/1/13)過去のRe-Riseのレビューページのアーカイブこちらから見ることができます。

(2020/7/19)オマケとして、2000年8月にリメイク版を公開した際に添付していた当時のReadMe.txtを以下に添付します。
(初公開版は紛失してしまっているため、リメイク版に添付していたReadMe.txtです)

リメイク版に添付していたReadMe.txt

曲名:overdose(globeアルバム"FACES PLACES"より)
ジャンル:Instumental
作曲者:小室哲哉(BMS by mots)
難易度:☆☆☆☆☆☆☆☆ Normal
☆☆☆☆ Easy (Easy Version)
☆ Easy (For Beginners)
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ Normal (Another Version)
(☆☆☆☆☆☆☆☆ Normal (MIDI Version))
(☆☆☆☆ Easy (MIDI Version-Easy))
ファイルサイズ:2330KB
初公開日:2000年3月1日
最終更新日:2000年8月15日

コメント:
第1作目のBMS"overdose"の改良版を公開するのはこれで
2度目になりました。以前の改良版では音ズレを解消するために
WAV BGMを細かく区切りすぎて、無駄に重くなって
しまいました。
今回は、音を完全に1音づつ区切り同じような音は
使いまわすことで、音ズレの問題とでかいファイルサイズ
の問題を解消したつもりです。
さらに、音自体を完全に1から作りなおし、
以前よりも迫力のある音にすることが出来たと思います。
また、BPMの変化率も見直し、設定しなおしたので、
もう完全に以前のものとは雰囲気が違うと思います。

Lzh書庫の中にMIDIも同封しました。
ついでに以前も作っていたMIDI Version
も入れました。ただし、これは正規版のBMS
MIDIをBGMとして鳴らしているだけです。
よってほぼ99%ズレます。なんせ一本WAV
と変わらないんで、、、
公開するかどうか迷いましたが、一応
ついでにということで、入れておきました。

今回音を1音づつ区切ったので、新しいバージョン
(For Beginners/Another Version)
も用意することが出来ました。
というわけで、ちょっとトクした気分になれるかも・・・(笑)

難易度は以前と同様に無理クサイです。
でも出来ないことはないはずです。
(ただ、Anotherはツライかも・・・出来たらスゴイです)

    • -

このたびは、このBMSをダウロードしていただきありがとうございます。
この作品、または他の作品やホームページについてなどご意見がありましたら、
BBSまたはメールでお知らせください。今後の作品に役立てたいと思います。

mots
url http://www15.freeweb.ne.jp/play/m-nishi/ (古いサイトなのでもうありません。Wayback Machineにもありません。)
mail (古いメールのため削除)

無名戦17 参加曲 Trooping the Colourの解説②~BGAについて(2020/07/04)

①に引き続き、以前wixの個人サイトに掲載した記事の移植です。

なお、解説対象のBGA(動画)はこちらです。
BGAのみ→https://www.youtube.com/watch?v=nbaH3dGGi9g&t=11s
beatorajaでのAuto Play動画→https://www.youtube.com/watch?v=XVqTTeur52M 
※音はbeatorajaのAutoPlay動画の方が良いです
----------------------------------------------------------------------------

どうもー。motsです。

2020/7/4現在開催中の「第17回自称無名BMS作家が物申す! 」イベントも明日がインプレ期間最終日でいよいよ大詰めです。一応、2回に分けて書くと宣言していた作品解説を開催期間中に終わらせておかないと、と思い、再び記事を投稿します。

今回はBGAについての解説です。といっても、正直この作品のBGA、解説しないといけない程のレベルのものでもないかもしれないです。昨今のBMSBGAは本当にレベルが高いと思います。凄い映像だなぁと思ったら実際にプロのCGクリエイターさんがかなり時間をかけて作っていたものだったり、プロでなくてもそれぞれの作者さんまたは映像作家さん達が持てる技術を総動員して作品の世界を全力で映像表現していて、こういった作品を見ると本当に言葉が出なくなります。BGA界隈の昨今のこのレベルの高さは、本当に凄くて素晴らしいな、と思う反面、多くの人にとってBGAを自作するハードルをあげているような気もしてしまっています。結構、BGAも作り始めたら案外楽しかったりもするので、せっかくBMSを自作しているのに、失敗しても自己責任の範囲に留まるBGA制作の機会を自ら放棄するのもちょっと勿体ない気もしています。

私自身、絵心は全然ありません。大学時代は建築学科で、在学中はそれなりに建物のデッサンとかパース図を描いたりとかはしていたものの、例えば想像だけで絵を描けと言われたら普通に所謂"画伯絵"になります。映像制作の経験もほぼなく、知識もほぼありません。ということで、今回の記事の狙いですが、そんな絵心も知識もない人間でも、こういう方法をとればこの程度のBGAなら作れるよ、ということを解説することで、少しでもBGA制作のハードルが下げられたらと思っています。なので、BGAの解説、というよりもどのように作っていったのかや、どういうことを考えてBGAを作っていったかの解説になると思います。

​前置きはこれくらいにして本題に入ります。

1.映像のコンセプトについて

曲のテーマはTrooping the Colourというロンドンで実際にある祝典です。なので、実際のTrooping the Colourの写真や映像をふんだんに使って、祝典の雰囲気を伝えたいと思いました。曲のテーマとしては第1回の解説の通り「勇ましさ」と「規律」なので、それも何らかの形で表現できればと思いました。

2.素材集め

前述の通り、絵心はないので自分で何か絵を描くのはNGです。なので、できる限り題材となる写真や映像を集めました。ネットで映像を集めようとすると著作権の問題がついて回ります。そこで目をつけたのが米YAHOO!が運営するflickrという写真共有サービスです。このサービス、個々人が撮った写真や動画を公開しているのですが、それぞれの写真や動画に撮影者が利用ライセンスを決めて公開しており、中には再加工・再配布可能なものもあります。また、基本的には利用は無料です。細かい条件を見ると、パブリックドメインとして完全に著作権を放棄しているものもあれば、非営利目的でクレジット表記すればなら再加工・再配布可能だったり等、様々です。ということで、まずはBGA制作の素材集めとして、このflickrでTrooping the Colour関連の写真や動画、また、舞台となるロンドンの写真や動画を片っ端から集めました。また、過去に自身が撮ったTrooping the Colourの写真や動画も掘り出し、それも素材としました。

3.素材加工

動画や写真をそのまま作品に使おうとすると、サイズがバラバラで使いづらかったり、そもそも動画なんかは余計な映像も入っていたり(衛兵が広場で行進している手前でホームビデオで動画撮影しているおじさんが映っていたり、その横を子供が遊んでいたり等…)していたので、動画で必要な個所をクロッピングしたり、映像・写真サイズもbeatorajaで扱える1280x720 pixelに調整しなおしたり等をしました。ここで使用したソフトウェアは、写真の加工にはWindows標準搭載のペイント、動画の加工にはVideo Procというソフトを使っています。半年前にクリスマスプレゼントキャンペーンか何かで、運よくこれの有料版のライセンスを無料で手に入れることができたので、それ以来愛用しています。動画のフォーマット変換等の処理も速く、結構使えるソフトだと思います。一通り集めた写真と動画の必要な部分の抜き出しとサイズ統一を行ったところで、動画制作に入りました。

4.動画編集ソフト探し

一通り素材が集まり、素材を利用しやすいように加工ができたところで、動画制作に入るのですが、動画制作には編集ソフトが必要になります。以前はWindows Movie MakerがWindowsに標準搭載されていたので、本当はそれを使いたかったのですが、今はなくなっているみたいだったので代わりのソフトウェアを探しました。色々と無料のものを試したものの、動作が不安定だったり、微妙にやりたいことができなかったりで中々良いソフトが見つからなかったのですが、色々試した挙句、BeeCutというソフトに行き着きました。写真や動画を感覚的な操作でつなげ合わせたり、エフェクトをかけたり、再生速度を変えたり、まさにやりたいことができるソフトで、使い勝手が良かったです。無料のまま使っても良かったかもしれないですが、ロゴを消すひと手間が面倒そうだったり、有料版なら高解像度の動画出力もできるようだったので、普通に有料版購入しました。映像制作用に、他にもResolumeの無料版とかも導入済で、これ使って映像ミキシングも試みましたが、今回扱っているのが実写映像だからということもあるからか、あまり良い感じにはならず、結局Resolumeは使用せず、BeeCutだけで作っています。

5.映像制作

ここまでは準備編で、ここからが実際の映像制作です。動画だけだと、ある程度BPMに合った動画再生速度で再生すると、集めた素材だけでは曲尺は埋まらなそうだったので、要所要所で集めた写真を使って映像の尺を埋める必要がありました。BeeCutに曲のWavファイルを配置し、イントロ、Aメロ、Bメロ…と区切って各パートごとに場面に合いそうな写真・動画をあてていきました。

1)イントロ

曲の解説でもお伝えしていた通り、まずは掴みが必要だと思いました。ロンドンの有名建築や日常風景、Trooping the Colourの一場面をスネアロールに合わせてあらゆる方向から規則的に写真を一瞬でスライド表示させることで、視覚的な刺激を演出しました。自分なりの理論ですが、BMSをプレイしながらBGAはじっくり見ることはできないので、刺激を与えるなら多少視覚的にうるさいくらいが丁度良いと思っています。そして、スネアロールに合わせた写真の畳みかけを挟みながら、"Royal Anniversary" (王の記念日)、"from the 17th century" (17世紀より)と、videzeey より入手したabstract系の映像を背景に表示させ、盛り上げるとともに曲のテーマを伝えています。そして、Trooping the Colourの一場面の写真を次々と表示し、BeeCutのエフェクト"Bad TV"で激しく映像を歪ませながらジャンルと曲名を表示させ、プレイしながらも視界の脇で目を引き、作品に引き込ませることを意識しました。その後、一瞬だけBMSBGA作者名を表示させた後、Trooping the Colourの場面場面の写真を曲の展開に合わせて、多少ゆっくり目に一枚一枚エフェクトをかけながら表示し、これからはじまる大規模な軍旗行進の予感をさせる演出をしています。

2)Aメロ(小→中規模編成)

Aメロに入ってすぐ、正面からみた靡いているイギリス国旗の動画を2倍速で表示させています。このイギリス国旗の動画はvidezeeyより入手したものです。イントロからの視覚的な変化を演出することと、Trooping the Colourの幕開けを演出するために旗を劇の幕に見立てて盛り上げようとしています。クラリネットソロが奏で始めるところでTrooping the Colourの解説文章を流しています。これは全く読んでもらうことを想定はしていないですが、一応、オートプレイとかで動画を見る場合には速読すれば何とか読める速度にはしています。曲のフレーズごとに次の文章を表示し、曲との同期を図っています。文章はTrooping the Colourのwiki等の解説サイトから引用しています。クラリネットソロが終わってもう一度楽器を増やしてメロディを繰り返すところでは、幕を開くような切り替わり効果とともに軍旗行進の映像を表示させています。この段階でもまだ曲の解説が続いているので、歴史ある古いセレモニーに対する解説をしていることがより強調されるように、BeeCutのエフェクトの"Old Video"にして古い白黒テレビ風の映像に変えています。なお、このBGAの中で兵隊が行進している映像はすべてmotsによる自撮りです。5-6年くらい前にTrooping the Colourを実際に見に行った時に撮ったものです。

3)Bメロ(中→大規模編成)

場面を展開し、広場で兵隊の部隊が隊列をなして行進していく映像を曲のBPMに合うように再生速度を調整して流しています。ここは特に、曲と映像が同期することを意識して映像を当て込んでいます。BeeCutのChromatic Aberrationというエフェクトをかけて敢えて映像をちらつかせて、ちらつきが曲のリズムと合うようにしたり、雲が流れるタイミングを曲のフレーズの切れ目と合わせたり等は意識的にやっているものです。

4)Aメロ(大規模編成)

ここで、曲の解説でも記載していますが、「レッド・アローズ」を登場させています。で、このレッド・アローズの映像、再配布・再加工可能なものはあまり画質の良いものがなかったです。ただ、どうしてもレッド・アローズは使いたかったので、画質多少悪いですが使っています。画質の悪さをごまかす意味も込めて、ここでも同じくChromatic Abberationでちらつかせ、曲との同期も図っています。また、木管の駆け上がり、駆け下りが交差するところがはじめて出てくるところで、レッド・アローズがユニオンジャックの色を表す三色の煙を放出するところと丁度同期するように映像再生箇所・速度を調節しています。

5)Cメロ(静)

曲解説でも説明した通り、ここではどちらかというと、場面としてはこれまでの軍旗行進や儀礼飛行から切り替わり、イギリス王室の華やかな様子を表現することを想定していた箇所ですが、エリザベス女王だとかを登場させてしまうと肖像権の問題がありそうだったので、ユニオンジャックがはためいている動画を使っています。この動画もvidezeeyより入手したものです。

6) Dメロ(静から動へ徐々に盛り上げ)

はじめはつなぎとしてロンドンの有名建築の写真を回転させながら表示させています。ここにはあまり深い意味はありません‥。今考えたらもう少しここはどうにかできたような気もします。ただ、最後のMIND THE GAPはロンドンを象徴するフレーズということもあり、少しでも印象に残るように写真の最後に持って行っています。ちなみに話脱線しますが、MIND THE GAPというのは本家にも同名の曲があることを最近知ったのですが、このフレーズはロンドンの地下鉄で電車が発車するタイミングで必ずアナウンスされるもので、「電車とホームの間の隙間にご注意ください」と注意喚起するものです。割と独特な言い回しだからなのか、結構ロンドンでは名物フレーズになっているようで、事あるごとに色んな人がスピーチや随筆等で引用しているような気がします。この作品の隠し譜面にもMIND THE GAPという曲変更差分譜面があるので、興味があればやってみてください。
…と大分脱線しましたが、解説の続きです。その後は、ロングトーンの音階を徐々にあげて盛り上げていく箇所ですが、再びレッド・アローズの別動画を使っています。特にこちらの映像はさらに画質が悪かったので、逆に古めかしさを演出するために"Old Video"エフェクトを使って白黒テレビ風にした上で、3色の煙を放出するタイミングでカラーに戻すことで過去から現在に戻し、そして未来に伝統を繋げていくことを、レッド・アローズが彼方に飛び去っていく様子を映して表現しています。

7) Aメロ(大規模編成+α)

Aメロへの回帰は再び兵隊の行進の動画ですが、冒頭のものとは別の動画です。曲の盛り上がり具合と同期させるために、冒頭よりも再生速度を速めています。ここではBeeCutの"Glitch"というエフェクトを曲のリズムと同期させながらかけて、力強さやより一層の勇ましさを演出しています。

8) エンディング

エンディングでは、これまで使用した広場の行進、レッド・アローズ、ユニオン・ジャックの映像を順に速度をはやめながら再生することで、走馬灯のように映るように演出し、最後にもう一度 "WIND ORCHESTRA Trooping the Colour"と曲名をドーンと表示させて印象づけを試みました。

6.まとめ

以上が映像制作の解説です。特に意識したのは、イントロでの掴み、曲と映像の同期、またいかに曲で表現したかった点を限られた素材を活用して映像に落とし込むか、という点です。振り返ると、はじめに表現しようと決めていた「勇ましさ」と「規律」を意識的に表現を試みた部分は、あまりなかったかもしれないです。ただ、これらは、そもそも兵隊が行進している映像そのものから感じ取れるもののような気もするので、個人的には結果的にはOKということにしています。

…と、こんな感じで作っていったわけですが、出来上がったものは、映像作品としてみると目にやさしくない忙しない映像になっていると思います。ただこれも、解説中に述べたように、BGAって結局、プレイしながらはじっくり見ることができないし、多少刺激が強いくらいが丁度良いのかな、という自分なりの理論の元で出来上がったもの、と捉えて頂ければな、と思います…。


またしても、長々とした説明となってしまいました。2回に分けて、曲、BGAとこの作品を解説させて頂きましたが、これらの解説を読んだ後、もう一度本作品をプレイ頂いた際に、新たな発見や感動を得て頂けるようであれば、本当に作者冥利につきます。

最後まで読んで頂き、本当にありがとうございました!


※作品やってみて、感銘受けたことや、お前何言ってんだよ、といった文句、目に余ったこと等何でもあれば、無名戦の開催期間は2020/7/5まであるようなので、それまでに是非インプレ投稿をお願いします…!貴重なご意見お待ちしています。

​無名戦会場 No.9 Trooping the Colour
http://manbow.nothing.sh/event/event.cgi?action=More_def&num=9&event=131

無名戦17 参加曲 Trooping the Colourの解説①~曲について(2020/06/16)

以前、wixの個人サイトに書いた記事を移植します。
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こんばんは。motsです。

2020/6/16現在、「第17回自称無名BMS作家が物申す! 」イベントが絶賛開催中です。インプレ開始より1週間経ったところなので、そろそろ自身の参加曲であるTrooping the Colourについて解説していきたいと思います。曲とBGAの2回に分けて解説していく予定です。譜面についてはそこまで造詣は深くなく、最もプレイされそうなANOTHERは外注させて頂いているので、あまり語れることはないです…。なので、譜面については記事にはしませんので、ご了承ください。
一応、譜面に関しては個別の記事にする程ではないですが、ANOTHERまでの難易度についてはスクラッチ交えた3音までの同時押しにおさえることは拘りました。ANOTHER譜面は外注しているものの、そこだけは守ってもらうようにお願いしました。これは単純にPCキーボードで同時押しが辛い環境でプレイしている人向けの配慮です。スクラッチ+2音も組み合わせとキーボードによっては同時押しできないこともあるかと思いますが、何も配慮しないよりはマシかな、ということで。そのため、人によってはANOTHERも物足りなく感じる可能性もあるかと思いますが、一応さらに上位の隠し譜面も用意はしてあるので、刺激足りない場合はそちらもプレイをお願いします。

…ということで、本題に入ります。今回は第1回として、曲についての解説です。

※注意事項:この記事は、音楽や作曲に関する内容が出てきますが、筆者は独学のにわか知識しか持ち合わせておらず、結構変なことを言っていると思います。内容についてはあまり真に受けないようにお願いします。


1.曲の構想について

まず、無名戦向けにははじめに本当は別の曲を出そうとしました。でも、とある事情あり、やめました。
こちらは8月のWWイベントに回すことにしています。これについてはネタバレ回避のため、これ以上は伏せておきます。

​で、新たに無名戦の曲の構想を考える上で、自分ならではの曲って何だろう、と考えました。作曲経験はあまり豊富ではないし、音ゲーもだいぶブランクあるし、正統派の音ゲー曲で勝負しても、他の出場作品には敵わないことは目に見えている。じゃあ、アプローチとして、自分でも作れそうであまり音ゲー(というよりBMS界隈)では見ないジャンルでオンリーワン路線で攻めよう、ということで、割とすぐに、吹奏楽曲だ!という結論に達しました。元々吹奏楽はやっていたし、2000年~2001年の活動中に吹奏楽のコピーBMSは幾つか作っていた経験もある。当時も吹奏楽曲のBMSを作っていたのは自分くらいだと思います(クオリティは別として…)。

​フルオーケストラ、という選択肢もあったけど、去年の無名戦でヤバイのがあったので、こんなのとまともに比較されたら敵わん、ということで避けました。まあ、広義ではオーケストラだし、普通に比較されちゃいそうな気はするけど、路線が違うんだ…!と言い張ることで事なきを得ようという作戦です。でも、あの曲は本当に凄いです…作曲面もミックス面も確かなセンスと知識に裏打ちされためちゃくちゃレベル高い作品だと思います。BMS作品としては確実に自分が知っている歴代ベスト5には入りそうです。……と、話の脱線はこのあたりまでにしておきましょう。話の本線に戻ります。

曲のコンセプトは、何かBMSに触れることで、ちょっとした雑学を増やしてもらえたらいいな、という思いから題材を探しました。このやり方は長尺BMSイベントで序曲1812年を出した時、同じように曲の背景を説明していったことが一部で割と好評だったようなので、同じようなコンセプトでできないか考えたものです。6月の無名戦の開催時期は丁度、ロンドンでTrooping the Colourが開催される時期で、日本では一般的にそこまで認知されているものではなさそうだし、これを題材にしよう、と決めました。

ジャンルと題材が決まったことで、曲の雰囲気、曲の構成を決めていきます。ただTrooping the Colourを題材にするだけだと、自然とお祭り的な三拍子の行進曲を思い浮かべましたが、それって音ゲー的にどうなんだろう、ということでもう少し頭を捻りました。音ゲー的にはある程度のBPMや疾走感は欲しい。コピー曲なら好きな曲あれば割と音ゲー向けかどうかは気にせずBMSは作っていたけど、オリジナルなら自分で作る分、考える余地はあると思いました。そこで、いろいろなレファレンス曲からヒントを得よう、としました。

レファレンス曲の中で、注目したのがイギリス出身の吹奏楽界の巨匠、Phillipe Sparke先生(以下、敬称略)の作品です。代表曲は『ジュビリー序曲』『オリエント急行』などで、吹部出身者ならおそらく馴染みのあるはずの作曲家だと思います。Phillipe Sparkeの作品の中に、『祝典のための音楽』という曲があるのですが、まさにこの曲が今回作りたい曲のテーマと合致していました。勢いのあるトランペットのファンファーレから始まり、曲はエモいメロディ展開で終始速めのBPMで疾走していきます。こういう曲ならBMS化した時に音ゲーとしてちゃんと映えそうだ、と思いました。ということで、こんな雰囲気の曲を作りたいな​、というイメージをまず持ちました。

ご参考:Phillipe Sparke 『祝典のための音楽』
ttps://www.youtube.com/watch?v=u7wx53N85N8
※リンクは張っていないので、視聴されたい方はURLをブラウザに張り付けて飛んでください。
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出来上がったものは結局イメージを固めていくうちにだいぶ違ったものになりましたが、この曲のエッセンスはところどころで取り入れていたと思います。
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2.曲の構成について

曲構成のコンセプトとしては、以下は取り入れられると良いな、と考えました。
1) 動→静→動の構成をしっかり持つ。
2) 曲尺的にはBMSで標準とされる3分以内におさめる。
3) はじめにイントロで掴みにかかり、盛り上げた後は、小さな楽器編成に一気に落として、そこから徐々に大編成になっていくボレロ形式を取り入れる
4) 途中で静になるところは曲の雰囲気をガラッと変える。
5) 動の部分は単調にはせず、1展開か2展開はさせる。
6) 終盤で最初のフレーズに回帰する
7) できれば終盤転調してさらに盛り上げる

そうしてたどり着いたのは以下の構成です。これは曲を作りながら自然な展開をイメージして試行錯誤の上で辿りついたもので、最初から決めていたわけではありません。

イントロ→Aメロ(小→中規模編成)→Bメロ(中→大規模編成)→Aメロ(大規模編成)→Cメロ(静)→Dメロ(静から動へ徐々に盛り上げ)→Aメロ(大規模編成+α)→エンディング

エンディング前の転調については、曲尺的に長くなることと、若干しつこくなるような気がして入れるのはやめました。あれ?サビはどこ?と突っ込まれそうですが、Aメロがサビのようなものだと思って頂ければ…と思います。
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3.曲で表現するテーマについて

曲で表現するテーマとしては、軍旗行進が元となっていることから、「勇ましさ」と「規律」をテーマに設定し、そのテーマを曲でどう表現するかを模索しました。
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4.曲解説

ここからは曲そのものの解説です。イントロから順番に解説します。

1) イントロ

イントロの導入部分のトランペットのファンファーレはまさに『祝典のための音楽』のオマージュです。ただ、そのまま使うとパクりになってしまうので、フレーズを微妙に変えた上にマイナーコードに変えて、勇ましさをより前面に出すようにしました。トランペットのロングトーンも、スフォルツァンド(sfz)から一気にピアノ(p)に落とした上でクレッシェンド(cresc)をかけることでよりクレッシェンドの効果を増大させ、ここで聴いている人に作品の世界に一気に引き込ませることを意識しています。このsfz→p→crescはこの曲の中で割と多様しています。この表現ってまさに吹奏楽らしい表現なんじゃないかな、と個人的には思っています。

と、そんな感じでイントロはとにかく"掴み"にいくことを意識し、オマージュ元の『祝典のための音楽』にはなかったですが、さらにティンパニロールとスネアロールを冒頭に追加することで掴む力をより増大させました。また、譜面の視覚的にも少し驚きが生まれるように拍子も2/4にしていたりします。これも掴みを増すために意図した小細工です。

ファンファーレの後は、大規模な軍隊の勇ましさを更に表現するために金管楽器全編成で力強いメロディを奏でます。このメロディについては、こんな感じかな?と鼻歌を歌いながら自作しましたが、思い返すと多分無意識にこのあたりの曲の影響を受けていた気がします。

少林サッカー(2001年)
ttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B0%91%E6%9E%97%E3%82%B5%E3%83%83%E3%82%AB%E3%83%BC
少林サッカー OP
ttps://music-lovers.hatenablog.com/entry/2018/05/11/194755
※こちらもwikiじゃない方にはリンクは張っていないので、視聴されたい方はURLをブラウザに張り付けて飛んでください。

また、メロディに加えて木菅楽器全編成の駆け上がりも装飾として加えて更に盛り上げます。さらに、メロディの裏でリズム隊を加えて2種類のシンバルロールを走馬灯のように(?)走らせることで、これからはじまる大規模な軍旗行進の予告を表現しています。

メロディのコード進行については、完全5度のコードを平行移動させていくことで、力強さと規律を表現しています。この「完全5度の平行移動」は今回の作曲の肝の部分です。イントロに限らず、終始このコード進行で曲展開していっています(実際には更にオクターブユニゾンも加えています)。この完全5度のコードですが、パワーコードとも呼ばれているもので、シンプルなコードなだけに音の濁りを軽減してベース音の力強さを増し増しにする効果がある反面、多用しすぎると無機質な雰囲気になってしまう、とされているもので、連続使用はあまり推奨されていないもののようです。でも、今回は敢えてこれを多用しています。これは軍旗行進で皆揃って同じ動きをすることが求められるところに、人間性の排除を感じられるため、規律を表現するには非常に適している、と考えたためです。ただ、軍旗行進といっても所謂北朝鮮の軍事パレードのようなバッチり揃った行進とは違い、そこはUKクオリティです。Trooping the Colourをよく見ていると、たまにテキトーに歩いているおっちゃんもいたりします。なので、完全に無機質にはせず、どこか人間臭さを感じさせたい、という思いもあり、曲の随所に「人間的な表現」を散りばめてバランスをとっています。それは前述のロングトーンの表現だったり、よりエクスプレッションをきかせたロングトーンだったり、普通に聴いていても気づかないような不協和音を敢えて入れてみたり、等々。この部分は説明するより実際に聴いて感じてほしいところなので、詳細の説明は割愛します。

2) Aメロ(小→中規模編成)

イントロが終わり、Aメロに入ると拍子を4/4に変え、楽器編成を小規模にし、全体のダイナミクスも落とします。コード進行もマイナーコード進行からメジャーコード進行に変えることで、新たな始まりの予感や、祝典の始まりへの期待感を高めます。二種類のリズム隊で音量控えめに一定リズムを刻むことで、遠くから兵隊が行進してくる様子を表現しています。

二種類のリズム隊はホルンとバスーンでコードに合わせた2音の8分音符を刻み続けるリズム隊1と、トロンボーン、チューバ、ティンパニで一定リズムを刻み続けるリズム隊2です。その裏で更にパーカッションリズムも加えて音の厚みを増やし曲の表情を整えています。また、このリズムは単に曲の表情を整えるだけではなく、BMS化した時の配置のバリエーションを増やすことも意識して入れているものです。

旋律はAメロではクラリネットソロで奏で始めますが、それは隊を率いる先導者の行進を表現していて、その後楽器編成の厚みを増しダイナミクスを一段あげて同じ旋律を繰り返すことで、後続の部隊行進を表現しています。
このはじめのソロ旋律はホルンを使うか迷いましたが、リズム隊が金管楽器中心だったことと、木管楽器の中でも比較的硬めで存在感のある音を出せるクラリネットが割とこの場面では合うような気がしてクラリネットを使いました。
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3) Bメロ(中→大規模編成)

Bメロはリズム隊のリズムは変えずにメロディを展開させる中、さらにティンパニ+シンバルロールを主コードとは敢えて不協和音となるように荒々しく挿入することで、行進の場面展開と更なる力強さを演出しています。また、ブレイクのように3/4拍子も混ぜることで、曲の展開に変化をつけ、単調さを排除しています。フレーズの繰り返しで楽器編成も増やし、さらに大規模な連隊行進へとつなぎます。
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4) Aメロ(大規模編成)

曲の構成は2)のAメロと同様ですが、ここではじめてBMSでいうところの所謂"階段配置"となる木菅楽器の駆け上がり・駆け下りを交差したものを加えています。Trooping the Colourはただ兵隊が街道を行進するだけではありません。行進が一通り終わり、空を見あげると、空軍の儀礼飛行が行われます。特に目玉は「レッド・アローズ」(日本でいうブルー・インパルスに相当する飛行部隊です)による曲技飛行であり、レッドアローズが空で連隊を組みながら、イギリスのユニオンジャックを表す三色の煙を放出しながら空を駆け抜けます。この木管楽器の階段フレーズはこの3色の煙を放出するレッドアローズの様子を表現しています。実際のTrooping the Colourでは最後のフィナーレとしてこれが行われるのですが、それに合わせて曲の最後にこれを持っていく良い曲構成はどうしても作れなかったので、そこはあまり拘らずに曲の中でここぞ!というところでこの木菅の階段フレーズを入れるようにしています。単調にならないように出てくるたびに都度楽器の組みあわせも変えています。基本木管を使っていますが、敢えてのトランペットにもこのフレーズを演奏させたりもしています。トランペットも結構吹奏楽では細かいフレーズ演奏させるものもあり、自分も吹奏楽ではトランペットをやっていたのですが、こういう細かいフレーズは大好きでした。なので、割と遊び心的な感覚でトランペットも階段フレーズに加えています。
ここのメロディの2週目は金管木管のメロディの掛け合いにし、さらに疾走感を増す演出をしています。これは空軍が空を疾走していくイメージを表現したものです。

5) Cメロ (静)

ここで雰囲気を変えます。BPMもこれまで180だったところを、微妙にゆっくりにし(BPM172)、静かな曲展開に変えています。
この切り替えのやり方もレファレンス曲に頼りました。参考にしたのはこの曲です。

ソードダンサー 狂刃の女神OP
ttps://www.youtube.com/watch?v=9yVNzRdO4C0
※例によってリンクは張っていないので、視聴されたい方はURLをブラウザに張り付けて飛んでください。

1994年にPC98向けに発表された格闘RPGのオープニング曲です(ネタ古くてすみません…)。この曲、勇ましいメロディから一気に明るいやさしいメロディに変わり、そのあと元のメロディに回帰するところがあるのですが、これが絶妙に上手いのです。これをオマージュして曲の雰囲気を一気に変えて曲展開しました。場面としては軍旗行進や儀礼飛行から場面が切り替わり、イギリス王室の華やかな様子を表現したものです。詳細は次のBGA編で解説しますが、ここではBGAとしてはユニオンジャックがはためいている動画を使っています。本当はここでエリザベス女王を登場させたかったのですが、肖像権の問題とかありそうでやめました。

6) Dメロ(静から動へ徐々に盛り上げ)

静かなパートから、騎兵隊が駆け抜けるようにスネアのタカタン、という音を鳴らしながら、再び勇ましい軍旗行進につなげるために、金管ロングトーンの音階を徐々にあげ、曲全体を盛り上げていきます。

7) Aメロ(大規模編成+α)

そして、Aメロに回帰します。4の楽器編成に加えて、高音楽器のリズム隊も増やし、曲全体の盛り上がりをピークに持っていっています。
レッドアローズの階段フレーズはここでも駆け巡り、木管金管の掛け合いフレーズで疾走感を演出しながら、冒頭から変わらない「勇ましさ」と「規律」を曲全体で表現しています。

8) エンディング

最後にはほぼ全楽器でリズムを刻み、大迫力の中、曲が終わるように演出しました。


5.まとめ

以上が曲全体の解説です。ポイントはメリハリの利いた曲展開で「勇ましさ」と「規律」を表現しながら、BMS作品としての疾走感も表現することをテーマにしながら、具体的な情景を思い浮かべて曲をつくっていったものです。

いかがでしたでしょうか?(…すみません、言いたかっただけです)

長々と説明してしまいましたが、この解説を読んだ後、もう一度曲を聴いて頂いた際に、新たな発見や感動を得て頂けるようであれば、本当に作者冥利につきます。

次回は少し先になるかもしれませんが、BGA解説編を執筆します。

最後まで読んで頂き、ありがとうございました!


※作品やってみて、感銘受けたことや、お前何言ってんだよ、といった文句、目に余ったこと等何でもあれば、無名戦の開催期間は2020/7/5まであるようなので、それまでに是非インプレ投稿をお願いします…!貴重なご意見お待ちしています。

​無名戦会場 No.9 Trooping the Colour
http://manbow.nothing.sh/event/event.cgi?action=More_def&num=9&event=131

管理人自己紹介

はじめましての方ははじめまして。motsと言います。
元々は2000~2002年頃に主にコピー系BMS(一部オリジナルもあり)を作成・公開していたのですが、幾つかきっかけがあって17年ぶりくらいにまたBMS制作をやってみようという気になり、2019年11月に活動再開し、こちらのサイト→https://mn241013.wixsite.com/home/
を立ち上げました。その後、幾つかBMSを公開したり、過去のBMSを再公開したり、最近のBMSイベントに参加したりしながら活動を続けています。

活動を続けていた最中、自作BMSの解説ページを上のwixのサイトに載せたりしたのですが、若干使いづらく、見づらかったこともあり、何か記事を書くなら別途ブログサイトで書いた方が効率良いかな、と思いこのブログを立ち上げました。作品の解説以外にも、モチベーション続いている間は、参加したイベントの振り返りや、BMS関連の話題で気になったこと等を記事にして書いていこうかと思います。

気ままに書いていくと思うので、更新は不定期になる上に、読んでいて楽しい内容でもないかもしれないですが、トピックによって興味ある内容なら読んで頂ければ、と思います。